学習塾の授業形態の1つである『集団授業』についてその特徴を紹介します。また、この授業方法のメリットやデメリット、使い方も記載していくので参考にしてください。
今すでに塾の集団授業を受講しているけど思うように成績が伸びていない、そもそも授業についていけていない、これから塾通いを考えていく学生には特に読んでほしいと思います。
私は塾教育に20年以上携わり、今も個人塾の経営者として教壇に立ち指導をしています。その経験から集団授業について詳しく紹介していきますのでご安心ください!
読んでいただければきっと自分に『集団授業』という授業方針が自分に合っているかどうかが分かるはずです。
1.『集団授業』とはどのような授業か
『集団授業』は学校の授業に近いので授業の様子は学校をイメージをしていただけると良いです。
1つのクラスで複数人の生徒が同時に授業を受けます。
ただし、塾の規模や方針によりクラスの人数は異なります。
少なければ3人でクラス授業と呼んでいる塾もありますし、大手進学塾では学校よりも多い50人もの生徒が同じ講義を受ける場合もあります。また、10人未満の集団授業であれば『少人数制』と謳うことも多いですが、この少人数という言葉にも定義はありません。
「それじゃあ学校の授業と一緒じゃん」と思うかもしれませんが、塾の集団授業は、学習理解度や志望校別にクラス分けをしている場合が多いのが特徴です。
また、塾の先生は学校の先生以上に“勉強を指導すること”に特化しているため、学校と同じ内容の授業を受けても「学校では理解できなかったけど塾では分かった」ということは多々あります。
2.『集団授業』の授業内容
授業内容や学習方針はもちろん塾によって異なります。
基本的には学校よりも少し先(予習内容)の授業をおこなうことが多いです。これは、“塾で概要を理解したうえで学校の授業を受けて理解を深める”という流れが効率的だからです。
また、学校の定期テスト前にはテスト対策等をおこなってくれることも多いでしょう。
3.『集団授業』のメリット
ここからは集団授業のメリットを見ていきます。これらのメリットをよく理解し、それを十分に利用できると思った場合は集団授業での塾通いを検討してみてはいかがでしょうか。
(ⅰ)まわりの仲間と切磋琢磨して高めあえる
前述の通り、塾の集団授業では学力や目標が近い学生同士で同じクラスに入ることが多いです。
そのため、クラスメイトが問題を解けているのに自分が解けていなかったりするとそれは危険信号です。焦るべき状況というわけですね。
ここで「ヤバい、もっと頑張らなきゃ」と思える学生はクラス授業が合っています。「別に関係ない」と感じるのであれば、クラス授業を受けるメリットは1つ失われます。
このように、レベルが近い友だちの理解状況を常に身近に感じられる状況に置かれますので、友だちの頑張りに感化されて自分も頑張れる学生にとっては良い環境となります。
また、授業の間の休み時間などに「今の授業分かった?」と友だちと教え合うこともできます。
友だちが一緒に授業を受けていることがプラスになる学生にとって集団授業はメリットとなります。
(ⅱ)授業が計画的に進む
集団授業は年間のスケジュールの上に成り立っています。受験などの明確な年度のゴール地点に向けて計画的に進んでいきますので、敷かれたレールに沿って進んでいけば良いだけなのです。
授業の内容はもちろん、授業でおこなわれる確認テストや、授業で出される宿題も授業計画のうちの1つです。与えられたものをしっかりとクリアしていくことで、着実に実力も積み重なっていくでしょう。
逆に言えば、授業を休むことが多かったり、宿題をサボったりしてしまう学生は、この敷かれたレールから外れてしまうことになりますので、集団授業のメリットを生かしきれいいないことになります。
自分で必要な学習を見つけるのが苦手だけど、与えられたものは確実にクリアしていける学生にとって集団授業はとても良い選択肢になるはずです。
(ⅲ)担当の先生の指導力が高い
集団授業は個別授業と比べて、先生の指導力が高いことが多いです。そのため、担当する先生はベテランの先生が多く、場合によっては怖い印象の先生がいたりもします。
指導者目線でお話しすると、集団授業は個別授業よりも授業をすること自体が圧倒的に難しく、担当する生徒も人数が多いので1人ひとりの理解状況や弱点を把握するのも難しいです。それに加え、年間を通して計画的に授業を進めていく必要があるので、やはり経験値が高い先生が指導することになります。
集団を扱う上ではやはり規則が必要ですので、規則に厳しく指導をしたり、集団を統率するという意味でも先生に対して怖い印象を持ってしまうケースもあるようです。でもベテランの先生は長い期間指導を続けている先生なので、生徒思いで、教育熱心な先生が多いですよ!
必ずではありませんが、集団授業の先生は指導力が高く、安心して任せられることが多いです。
(ⅳ)個別授業や家庭教師よりも授業料が安い
集団授業は個別授業や家庭教師よりも授業料が安いことが多いです。
しかし「安いから授業の質が低い」なんてことは決してないので安心してください。
先生たちも授業の準備をして授業に臨み、全身全霊で授業をし、授業後には採点業務をおこなったりと一生懸命働いています。そのお給料は、授業を受けた生徒全員で割り勘で納めていると考えてみてください。個別授業や家庭教師に比べて集団授業が安価で受講できる理由も納得ですね。
4.『集団授業』のデメリット
前項のメリットがそのまますべてデメリットともなり得ます。メリットと併せて理解したうえで、塾通いや受講方法を考えてみてください。
(ⅰ)まわりの仲間とペースを合わせて進まなくてはならない
集団授業はクラス全員が一緒に勉強を進めていくため、自分の思うようなペースで進まないこともあります。
自分が「ここはもう分かっているから他の勉強をしたいな」などというワガママは通用しません。
逆に、自分が少し理解不足でもクラス全員を巻き込んでいつまでも同じところで立ち止まることもできません。
良くも悪くも全員で同じ内容の勉強を同じように進めていかなければならないのです。
(ⅱ)授業を聞き逃したら自分で補わなければならない
「体調が悪くて授業を欠席してしまった」「授業中にふと余計な考え事をして聞き逃してしまった」、そんな場合でも集団授業は止まらずに勉強は進んでいます。
理由は何であれ、あなたが逃した学習内容をみんな揃ってもう1回!なんてことはありません。そんなことをしたらきちんと授業に出席して受講した生徒に迷惑ですね。
それを聞き逃してしまった場合、友だちに聞くなり、先生に質問しに行くなりして、学習内容を取りこぼさないように自分で補う必要があります。
ですので、集団授業では最後まで集中力が持続しない学生には不向きとも言えます。
(ⅲ)遠慮してしまう性格だと質問しにくい
集団授業はまわりにクラスメイトがいるため、内気な性格だと声を発しにくいです。
分からない問題があったときに「分かりません」「もう1回説明してください」と言える学生は問題ありませんが、質問できずに分かったフリをしてしまうと、先生もみんなが理解してくれたものとして授業を進めてしまいます。
また、皆さんが問題を解いているところを先生が見て回ることがありますが、これも見られるのが恥ずかしくてテキストを隠してしまうような性格だと、勘違いや間違いに気づいてもらえないことがあります。
「初めて勉強したのだから間違えて当然」「間違えて指摘してもらえた方が記憶に残る」「分からないことは聞いた方がお得」と、間違えることや質問することに引け目を感じずにグイグイいけないと、集団の中の一部として溶け込んでしまうことが多いです。。。
何でもかんでも周りの目を気にせず質問できる学生なんていないと思いますので、過度に周りの目を気にしてしまう学生には集団授業は向かないかもしれません。
(ⅳ)クラスの雰囲気が合わないことがある
集団授業は、集まったメンバーによって雰囲気が異なります。
前述したように、習熟度や目標でクラス分けがされていることも多いので、勉強に対して意欲的な高いレベルのクラスでは集中できる環境になりやすいですが、そうでないクラスでは騒がしくなってしまい集中できないこともあります。
全員が黙って勉強に向かうピリッとした雰囲気が良い学生もいれば、少し元気があって楽しい雰囲気の方が良いと感じる学生もいますので、どちらが良いとは一概に言えませんが、自分に合った環境に身を投じる方が良いことは間違いありません。学習環境も効率には影響します。
5.【まとめ】『集団授業』はこんな学生にオススメ
今回は集団授業の特徴、特に受講する際のメリット・デメリットに注目してきました。
これを踏まえてこれからの塾選び、受講方法選択をしてもらえればと思います。
集団授業に向いている学生は
・クラスの仲間と切磋琢磨して高めあえる
・休まずサボらす、授業や宿題をこなしていける
・指導力の高いベテランの先生に教わりたい
・塾通いのコストを削減したい
逆に、集団授業に向いていない学生は
・自分のペースで勉強したい
・欠席しやすい
・集中力が持続しない
・遠慮して質問できない性格
・解いた問題を先生に見られるのが恥ずかしい
というような学生です。
塾の受講方法、利用方法は様々です。
自分に合った塾・授業を選択してしっかりと成果を出せるようにしましょう。